文化財保存修理
2021.11.10
旧山村船具店保存修理工事(中編)
こんにちは(^^)/
平成17年~平成20年度に浜崎伝建地区の町並み交流施設として弊社が整備致しました。
以前のホームページに掲載していましたが、この度新しいページにも
文化財補修での弊社の実績として3回に分けてご紹介していこうと思います。
今回は中編をご紹介致します。ではどうぞ~
※なお、文中記載の会社名や日程等については当時のままを転載しています。
今回は土蔵(南)改修です。
上段は、外壁の焼杉板を解体したところ旧開口部の痕跡がありましたが金物類は全て撤去されていました。
これら金物類は(株)大谷相模掾鋳造所 さんで新規に製作依頼しました。
株式会社大谷相模掾鋳造所 (おおたにさがみぞうちゅうぞうしょ) さんは大阪で、法隆寺・東大寺や薬師寺をはじめとして、
多くの国宝・重要文化財の金物を造り続けておられます、金物製作の第一人者です。
2段目は、土蔵の大戸(土戸)のそろばんレールです。経年により戸車が、傷みや紛失で機能していませんでした。
今回、その部分を復原しています。材種は桧を使用しています。
3段目は、1階の床板修理です。松板に和釘(巻き頭釘)で固定します。
4段目は、庇の修理です。化粧裏板の上に、扮板を張って土葺きで既存の瓦を葺きました。
今回は主屋(北)改修です。
工事の方はいよいよ大詰めです。主屋(南)・土蔵(南)・土蔵(北)・離屋は、まもなく竣工です。
(一般公開予定;平成21年4月)
現在、内部建具の建込み調整など、仕上げ工事の真っ最中です。
上段画像は、着工前の主屋(北)です。主屋(南)の大屋根と比べると、棟の高さが1段低い構成となっています。
解体前には虫籠窓が2箇所ありましたが、建設当時は引違い建具と、一筋雨戸のようでした。
今回の改修では、その当時の姿に戻します。1階の土間への入口は大戸(跳ね上げ式)があり、両脇には蔀戸が取り付きます。
外壁は大壁で漆喰塗りですが、改修後は真壁となります。(道路側)
2段目は、主屋(北)の解体木材です。今は更地の現場ですがこの解体部材と新材を混ぜて復原します。
3段目は、解体部材のチェックです。当時の痕跡をたどり復原していくための重要な作業です。
4段目は、2月24日(日)に行われました「古民家再生建築見学会」の様子です
今回は主屋(南)改修です。
上段は、前回、2月24日の現場見学会の一コマの続きです。
当日参加者アンケートをされたそうで、この旧山村船具店が一番関心が、高かったそうです。一般開放は平成21年4月の予定です。
今回の、進捗状況は「土間タタキ」です。
ここでは、通路となる土間の一部に「土間タタキ」をしています。
「土間タタキ」とは、室内で板などの床材を敷かずに地面の土が露出したままで仕上げた床のことを言います。
三和土と書いて、「タタキ」と読むそうです。これは、土と苦汁(にがり)と消石灰を混ぜ合わし、叩いて仕上たものです。
ここでは、真砂土と消石灰・塩化カルシウム粒状を、配合して作りました。真砂土に、適度の湿りがあったため混ぜ合わせには水を入れていません。
今回のタタキの厚さは10cmで、2層に分けて施工しています。
「タタキ」と言うくらいで、かなり叩きました!翌日、土間の湿気を吸収しさらに硬化したようでした。
通り抜けの土間なので多くの人が歩くとさらに感じが出ることでしょう!
主屋(南)・土蔵(南)・主屋接続部・離屋が竣工しました。
今回は、外観の画像をご覧下さい。旧山村船具店の顔とも言える大壁造りの南側外観です。
海鼠瓦の腰壁です。
右翼棟と左翼棟の中間部に空地があり板塀で囲まれています。この板塀は市内某所の板塀を参考に復原しています。
西側には既存の目板格子(一部修繕)と新設の平格子。大戸(欄間は跳ね戸)となっています。
旧山村船具店保存修理工事も佳境に入りました!
工事場所は、主屋(北)部分です。ここは、主屋(南)工事の素屋根足場を設置するために、最初に解体したところです。
部材は、1年半旧椿西小学校の空き教室でこの日まで待機していました
1本、1本手ばらしした部材を再度組み立てますが、かなり老朽化していて再生不能部材もありました。
それらは含侵補修材で修復しています。(新材もありますが・・)現在は軸組が完了したしたところです。
この棟は、1階3部屋 2階1部屋と、こぢんまりしています。
土間があり裏の中庭に通り抜けできます。
道路側にはここ浜崎町周辺ではお馴染みの蔀戸が取り付きます。